数々の難事件を解決してきた「放浪の名探偵 納戸要(なんどかなめ)」。
彼は休暇で帯広にいた。目的は冬の北海道できれいな空気を吸い、ゆっくり温泉につかること……と言いつつ、一番の楽しみは「ばんえい競馬」であった。
 「ばんえい競馬」は、体重約1トンもの“ばん馬”が、荷物をつけた鉄ソリ(最大1トン)を引いて200mの直線コースを競う、世界でたったひとつの競馬である。納戸は、その魅力にすっかり取りつかれていたのである。
 その日、ばんえい競馬を楽しむ納戸要のもとに、一人の刑事が訪ねてきて言った。「帯広で起きた怪事件の捜査に協力して欲しい」。納戸の帯広滞在は一変して探偵業となってしまった。
 事件の被害者は、帯広に集まっていた「闇の怪人事件被害者の会」のメンバーのひとりだった。
 「闇の怪人事件」とは、数年前から不定期的に起きている「闇の怪人」を名乗る人物による連続殺人事件である。「闇の怪人事件」の被害者の家族達は、一向に犯人逮捕に至らない苛立ちから「被害者の会」を作り活動してきた。その彼らが何故、何のゆかりもない帯広に集まっていたのか?……そこには恐るべき理由があった。「闇の怪人」本人から、「被害者の会」メンバーそれぞれに宛てて「帯広ツアーの招待状」が届いていたのである。彼らは「闇の怪人」の正体を暴くために帯広にやってきたのだが、今回の事件で、「闇の怪人」が自分たちを片づけるために招待状を送ってきたのだと確信した。
 納戸要はこの事件を捜査するため、全国の探偵に呼びかけた。「これまで起きた闇の怪人による連続殺人事件に関する情報を洗い出して、その情報とともに帯広に来て欲しい!」呼びかけに応じた探偵達が帯広に集まってくる。
 「探偵vs闇の怪人」、北の大地での熱い戦いが始まろうとしていた……。

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