さてここで、この金庫を開けるための数字を導き出す方法のおさらいをしましょう。
まず、深見麻人の遺したメモにある「Lより開幕し〜Rで終幕する」が何を指し示すのか考える必要がありました。
「上手にX歩、下手にX歩」にどのような意味があるのか。琴乃さんはニューヨークで俳優として活動されていたとのことですから、深見麻人が彼女の舞台をよく観に行っていたことは想像がつきます。したがって、これは「上手(カミテ)」「下手(シモテ)」という舞台用語で、「いつでも客席から見ているよ」と照らし合わせると、観客目線で、上手は右、下手は左となります。
これでメモの内容を「左にX歩、右にX歩」と読み替えることができます。Lから上手(右)に3(=O)、そこから下手(左)に12(=C)、最終的にRという場所に行くとなると、文字数6文字の単語「LOC__R」になりそうです。
どこかで見たことのある文字列ですね。この金庫のあったロッカーの扉をご覧ください。「LOCKER」と書いてあります。つまり、Cの次にKを目指すと右に8(=◯)、KからEを目指すと左に6(=◎)、最後にEからRを目指すと右に13(=●)の移動が必要です。
つまり金庫の4桁の数字◯◎●は、「8613」。
あなたは解くことができましたか?
さて、金庫の中身はたしかに勝浦秀太のデザイン画でした。これを以て、磯貝から私へのデザイン画窃盗事件の調査依頼は完了したわけです。
しかし、この金庫には、「勝浦秀太のデザイン画」以外に、「鍵が入った小さな封筒」が入っていました。最後にこれを解明しなくてはなりません。
この「鍵が入った小さな封筒」に謎の走り書きがありました。筆跡は深見麻人のものです。
ミステリー好きの深見麻人は、ニューヨークの深見邸の各部屋にミステリーにちなんだ名前をつけていました。そのいずれかの部屋のどこかに何かが隠されている……。
私はかねてから、深見麻人は大切な一人娘の行く末を案じ、遺言または手紙のようなものを遺していたのではないかと思っていました。
そしてその通り、この走り書きから判明した「ある部屋のある場所」に琴乃さんへ宛てた手紙が見つかりました。
最後にこの謎を解明してください。
深見麻人の遺した手紙が読めるよう公開いたします。